阪神は今季も悲願の優勝には手が届かなかった。前半戦の独走状態からヤクルトに逆転されたチームの課題はどこにあるのか。優勝へのカギは何か。レジェンドOBたちが提言する。2005年の優勝監督・岡田彰布氏(63)は、打撃部門で日本選手の軸が必要と説いた。
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今季の戦いを振り返ると、最後は打線の軸となるバッターがいなくなった。来季に向けてその候補も現状、見当たらない。大山、佐藤輝ら終盤のゲームに出ていなかった選手の名前を簡単に挙げることはできない。
なぜこうなってしまったか-。ポイントは二つある。一つ目は外国人を優遇しすぎてしまったこと。大前提としてチームの核、打線の核になるのは日本選手だ。マルテ、サンズらの成績を見れば打率・260~280で20本塁打前後。このラインであれば日本選手でも十分、育成することができると思う。
マルテは選球眼が良いと言われているが、逆に本来なら走者をかえしてほしい、長打で試合を決めてほしい場面で手を出さないケースもある。勝負強さがあり、打率・260でも30本塁打が外国人選手に求められるもの。相手に与える“怖さ”がなく、日本選手と同じラインで助っ人を優先的に使ってしまえば、若手の可能性をも消してしまう。
もう一つは編成と現場の連携。他球団に目を向けると、村上、岡本和、鈴木誠など高卒のドラフト上位選手が軸になっている。セ・リーグで30本塁打以上打っている選手はすべて高卒の選手。ドラフトで獲得した高校生が1軍で中軸を張ったのは、2軍監督時代に育てた浜中以降、出てきていないのではないだろうか。
ここ数年を見ていると大卒社会人出身の選手がレギュラーを奪い合う状況。24歳前後でプロに入ってくる選手は伸びしろが少なく、軸となる選手に成長する要素は低い。レギュラーに定着した選手は現状、近本だけ。即戦力の同タイプでポジションを争うと、一定のレベルから突き抜けない。低い水準での競争になってしまい、逆に軸となりえる有望な選手をつぶしてしまう可能性がある。
だからフロントが望むチーム作りと、現場の考えは果たして一致しているのかと思ってしまう。来季に向けて、とにかく打線の軸を作ること。クリーンアップに最低2人、どっしりと座る日本選手が必要だ。
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