【真弓明信】阪神佐藤輝明の再生法

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来季4年目を迎える矢野阪神が、17年ぶりのリーグ制覇へ必要なものは何か? 日刊スポーツ評論家陣が提言する「背水矢野虎 来季Vへの具体的方法論」。初回は元阪神監督の真弓明信氏(68)が打のキーマン・佐藤輝明内野手(22)の再生法を語った。

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来季も佐藤輝が優勝へのキーマンの1人であることは間違いない。今季を振り返ると、前半戦は申し分ない働きで、新人記録すべてを塗り替えそうな打撃を見せた。チームも盛り上がり、40発は打つ勢いだった。そこから後半戦では一転して不振に陥ったが、不調時の対応の仕方を間違ったのだと思う。

どれだけ成績を残した選手でも、ここをもっと良くしよう、ここを直せばもっと良くなると考える。佐藤輝でいえば前半戦からボール球に手を出すことが目立っていた。周りから言われたり、本人もそう思うところはあったはず。選球眼が良くなれば、もっと成績が上がるという話になる。そこを追いかけて、悪くなったということだ。

左打者なら、左方向にテークバックして、トップの位置を作って、右方向へ進みながら、スイングして、フォロースルーとなる。ストライクかボールか、真っすぐか変化球か。相手の投球を見極める時に、このトップの位置で判断しなければいけない、と勘違いしてしまったのではないか。ここに落とし穴がある。トップで投球を見極めてから、振り出すと、どうしてもタイミングが遅れてしまう。

理想は、トップの位置から打ちにいく動作のなかで、ボールを見極めることだ。仮にボール球に手を出してしまっても、ファウルになればいい。佐藤輝の場合、最大の原因は、ボールを見ようとして、間に合わなくなったということ。真っすぐにあれだけ遅れるということは、相手投手の球をかなり速く感じたはずだ。慌ててバットを出しても、真っすぐは遅れ、低めに落ちる変化球には対応できない。意外にハーフスイングが少なかったのは、バットが止まらないからだ。2ストライクになれば、どの打者も打率は下がるものだが、佐藤輝は極端に悪かったのも、そういう点が影響しているのだろう。

打ちにいきながら、見極めるということが重要だと分かれば、もっと早くスランプから脱出できたのではないか。もともと速いボールを打てないバッターじゃない。打ちにいきながら探っていく余裕、柔らかさが分かってくると必ず直る。そのためには、やはり下半身主導のフォームが重要になる。

佐藤輝のような右投げ左打ちの打者は、利き足である右足の動きが強くなりがちだ。右腰や右膝で回転しようとすると、体の「開き」につながる恐れがある。左膝や左腰を使って体を回すイメージを持つべきだが、佐藤輝は左膝を痛めていたことを明かした。そういう意味では、後半戦の成績悪化はうなずける。しっかりと治して打撃フォームを固めていかないと、右足を使いたくなるので、余計に悪くなる。この秋や春は、下半身をしっかりと使って、打撃練習するべきだ。

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